内野研究室 早稲田大学理工学術院 基幹理工学部 電子物理システム学科

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研究内容

冷却原⼦

冷却原⼦とは、真空チャンバー内に閉じ込められた極低温の原⼦集団のことで、1995年にBose-Einstein凝縮体が実現されて以来、盛んに研究が進められています。最近では、量⼦気体顕微鏡や光ピンセットといった技術により、原⼦集団を1原⼦レベルで制御することが可能となっており、所望の量⼦多体系を構築して検証する量⼦シミュレーションや、主量⼦数の⼤きなRydberg原⼦を⽤いた量⼦計算が世界中で⾏われるようになっています。

当研究室では、これまで議論されてこなかった新しい量⼦多体系の振る舞いを、冷却原⼦を⽤いて明らかにするための理論的提案を⾏っています。

量⼦輸送

半導体の微細加⼯技術の発展により、量⼦⼒学的効果が主要な役割を果たす輸送現象が次々と検証されています。例えば、伝導チャンネルが1次元的な構造を持っている場合には、⾦属や半導体では伝導度が量⼦化されることが確認されています。また、超伝導体の場合には、オームの法則から⼤きく外れた輸送現象を観測することができます。当研究室では、固体物性系や冷却原⼦系を対象に、実験で観測可能な新奇な量⼦輸送現象を理論的に探索しています。

量⼦開放系

学部の量⼦⼒学の授業では通常、ユニタリーな孤⽴量⼦系を扱います。しかし、現在の量⼦コンピュータなどに代表される多くの量⼦系では、環境の影響を無視できないため、⾮ユニタリーな量⼦開放系の理解が重要です。当研究室では、メゾスコピック系や光共振器系、光格⼦系などを念頭に、量⼦開放効果によって発現する⾮平衡物性現象の解明に取り組んでいます。

量⼦多体系の理論⼿法開発

⼀般的な量⼦多体系の振る舞いを精度良く予測する理論⼿法はまだ確⽴されておらず、現在の物理学においてチャレンジングなテーマとして残されています。当研究室では、物性物理で本質的な役割を果たす模型を念頭に、場の量⼦論に基づく解析的⼿法や数値シミュレーション⼿法の開発に取り組んでいます。